構造地質部会2008年度例会(2009年3月長岡例会)参加報告

新潟大学大学院自然科学研究科 田中麻衣


 構造地質部会2008年度例会(2009年3月長岡例会)が,2009年3月14日から16日にかけて,新潟県長岡市で行われた.今回地元県内での例会ということで,一般口頭発表と例会の準備という,表舞台と裏方の両面で例会に関わらせていただいた.

 

 1日目(3/14)は長岡市中央公民館大ホールにて,東京大学地震研究所の佐藤比呂志教授による市民を対象にした普及講演が行われた.タイトルは「新潟平野の地下構造と直下型地震」であり,地震発生の仕組みから始まって,新潟地域の地下構造と2004年中越地震・2007年中越沖地震の関係,さらに現在新潟地域で行われている地殻構造探査の紹介という,盛りだくさんな内容であった.講演後の質疑応答では,「素人の意見なのですが・・・」と言いつつも鋭い意見が多く,地震に対しての関心の高さに驚かされた.

 

 2日目(3/15)からは,会場を長岡市民営国民宿舎悠久山湯元館に移し,招待講演,一般口頭発表及びポスター発表が行われた.招待講演は,「放射性廃棄物地層処分関連」,「活断層のモデリング」,「CO₂地中貯留関連」,「石油探査と構造地質学」という4つのテーマで行われた.どのテーマも現在,社会で最も注目されている事柄である.私もテレビや雑誌で大まかなことは理解していたが,具体的な研究内容についてはほとんど知らなかったので,とても勉強になった.

招待講演後の総合討論では,データを自分たちの中に留めがちな,すなわち保守的な理学系大学(理学系企業)と,データを積極的に外部に出し,よい製品を共同開発しようとする工学系大学(工学系企業)の違いや,どうすれば地質(地学)を学ぶ若者を増やせるかについて,熱い議論が交わされた.

 夕食と引き続く懇親会時には,ポスター発表が行われた.様々な職種の方々と話す機会があり,地質系の職業について具体的なイメージを持つことができた.また,他大学の学生と自分達の卒論の内容や卒業後の進路,それぞれの大学の様子などについてお酒を飲みつつ深夜まで語ることができた.

 

 3日目(3/16)には一般口頭発表が行われた.同じ分野で研究をされている方の発表ということで,どの発表も興味深く聞くことができた.さらにこの日,私は大学以外の場で初めて発表した.発表はかなり緊張したが,自分の研究について伝えたいことがちゃんと伝えられたのでよかった.

 

 この3日間で私は学会に対するイメージが変わった.偏った考え方だったが,今まで学会は偉そうな大学の先生が難しい話をする場だと思っていた.しかし,今回実際に参加・発表してみて,学会は色々な職種の人が集まる場で,私の卒論終了直後のつたない発表でもちゃんと最後まで聞いていただき,丁寧な質問や意見をしていただけることがわかったし,うれしかった.発表の準備はとても大変だったが,例会では多くの方と意見を交わすことができ,新鮮で充実した3日間を過ごすことができた.